育ちの広がり ~サファリごっこを通して~
 落ち葉が風に舞い、うららかな小春日和が続きます。子どもたちは、風邪が流行りやすい時期に備えて、太陽の光をたくさん浴びることができるよう、外での遊びを中心にして元気いっぱいに遊んでいます。
 昨日は園庭において、年長児によるサファリごっこが行われました。10月にサファリ見学に行ったことが、子どもたちに大型制作を作る機会を与えてくれ、ゾウ・キリン・ホワイトタイガーなどの動物たちが趣向をこらして園庭に登場しています。それらのブースでは、動物の特質や様子などを担当の子どもたちが細やかに説明し、小さいクラスの子どもたちも楽しく参加できるように、サファリ見学で学んだ経験が生かされていました。招待された年少児、年中児、宇宙組さんもいつもと違う園庭の様子や年長児のおもてなしに大喜び。
 年長児は訪れたかわいいお客さんに、いすにゆっくり腰掛けるように促して、サファリのお姉さんたちのようにモルモットを抱えて膝に持ち運びます。小さいクラスの子どもたちも手作りのモルモットをやさしく抱っこして、年長児は大変満足そうです。様々な場所で年長児の思いやりの心と、ルールの意識が伝わってきます。年中児は年長児のそのような姿から、自分たちの遊びに取り入れて遊びの展開が広がっていくことでしょう。また、年少児、宇宙組の子どもたちも他学年との交わりに心地よい刺激を受けて安心して過ごすことができたと感じます。
 身近な大人との関係、担任の先生、そしてクラスの子どもたち、異年齢の子どもたちと、人間関係が広がっていき、それから協同性が培われます。このように、年齢を超えた育ちの筋道をたてて、活動の基盤としてこの実り多い秋を満喫していきたいと思います。
【結城 由里子】(令和元年12月)
 ラグビーワールドカップが盛り上がっています。日本はその素晴らしいチームワークで、ついに準々決勝へと駆け上がりました。南アフリカとの試合では負けましたが、「最後まであきらめない」姿は、私たちに感動と勇気を与えてくれました。
 先週行われました運動会も、子どもたちの一生懸命な姿に心が打たれました。一人ひとりのがんばりがどの場面からも見受けられ、そして何よりも子どもたちの笑顔が最高にうれしかったです。
 運動会は言うまでもなく、「勝つこと」が目的ではありません。自分で決めた目標を自分なりに乗り越えること。そして私たち周りの大人たちは、そこまでに至った努力を励まし、支え、そして認めてあげることが大切だと思います。様々な競技の中、またさらにお家の方とのこの上ないスキンシップに、子どもたちも満足した一日であったと思います。
 このような平和な一日を本当に感謝するとともに、東日本各地に大きな被害をもたらした台風で、お亡くなりになった方々のご冥福と、被災された方々の早い復興を心よりお祈り申し上げます。
【園長 結城 文宏】(令和元年11月)
秋空の子どもたちへ
 新涼の中、明照幼稚園の園児たちは、毎日元気いっぱいに白熱した運動会練習に打ち込んでいます。
「やればできる」をモットーに、できなかったことが出来るようになる姿は、とても美しい時を刻み、私たちにも大きな喜びを与えてくれます。
 家庭から離れた園では、また違った日常があり、様々なことを吸収できる場所でもあります。
幼児教育は、そのような成長する時間を大切に、繰り返し優しく時に強く、勇気を持った人格形成を培うことを目標としています。大きな器を持ち得る人となりを育てていきたいと思っています。
 人生において、今のこの時期を大切に重ね合わせていく日々は、必ず満足できる自分に出会えると信じています。
子どもたちの今はまだ小さな姿ですが、【心豊かに力身に満つ】存在であることに気づき、大切に接していきたいと常に考えるのです。一人ひとりの成長を願って、一歩ずつ育んでいきましょう。
【園長 結城 文宏】(令和元年10月)
無償化のスタート
 6月に入り、吹く風も夏めいてまいりました。先日プール開きを行いましたが、今年は晴天が続いて気温が上がり、子どもたちの歓声と水しぶきで賑やかに過ごすことができました。また、それぞれの子どもたちが戸外でも十分に体を動かすことができて、遊びの充実を感じられます。
 さて、令和に入りいよいよ10月から幼児教育・保育の無償化がスタートする運びとなりました。幼稚園、認定子ども園、保育所等が一律に無償化の範囲内となります。これは質の高い幼児期における教育を全ての子どもたちに平等に行うことができるというものです。格差なく、段差なく幼児教育・保育を行うことで小学校以降の円滑な移行を可能とする、という国の方針が決定し、先日より市町村等の説明会が連日行われているところです。
 秋田喜代美教授(東京大学教育学部長)のお言葉の中に「幼児教育・保育は生涯にわたる人格形成の基礎を培い、人の生涯にわたる幸福やwellbeingをもたらすということです。」とあります。また、「幼児教育は認知および非認知能力とともに体力やそして運動能力の育成という点でも生涯にわたる心身の健康な生活のためにも極めて重要である」ともおっしゃられています。
 当園におきましても初心に返り、今一度カリキュラムの見直しや教職員のさらなる研鑽を積み重ねていくことができるように努めてまいります。
 詳細は7月8日に全家庭にご説明致しますのでどうぞご参加くださいますようお願い申し上げます。
【結城 由里子】(令和元年7月)
学びの課程 ~アクティブラーニングを目指して~
 目には青葉、の言葉があるように街並みや風景が青々と輝いているこの季節。子どもたちはのびのびと園生活を送っています。最近はお友だちの輪が広がり、多人数で遊ぶ姿がよくみられます。砂場でプリンを作っていた年中児ですが、初めは一人で黙々とプリンをづくりに熱中していました。次第にそれだけでは物足りず、今度はお友だちを誘って大きさや形が違うプリンが出来上がって、最後にはお店屋さんができるまでに遊びが発展しています。また、他の年少児は園庭のあちこちに置いてある花壇を移動させながらダンゴ虫の居そうなところを予想して、「ダンゴムシ採り名人」になっている子どももいます。過ごしやすいこの季節は子どもたちも外に関心が向かい、園でもこの季節に十分に外で思い切り遊んでほしいと願い、外遊びの充実を心掛けています。また、さらなる遊びの発展を願いつつ、今週から年齢別に「ふれあい農園」へお芋の苗つけに出向きます。本物の苗を手に取って自分たちで苗つけを行うのです。「秋にはおいしいお芋が食べれたらいいな。たくさんとれるかな」と期待をかけて畑へ足を運びます。畑では、砂とは違う黒い粘りのある土の感触を手で感じることができ、日ごろはなかなか目にすることのないミミズと遭遇したり、シロツメクサやクローバーを手に取って、おいしい空気をたくさん吸って自然を満喫してきたいと思います。
 子どもたちは、自分たちがが興味あるものには身を乗り出して、体を使ってそれに近づいていきます。
「これがしたい」と思う気持ちに大きな期待をかけて様々な試みに挑戦していこうと思っています。
【結城 由里子】(令和元年6月)
明照ガーデン ~初めの一歩~
 新緑がまぶしい季節となりました。進級・入園式から早や2週間。年長児・年中児はすっかり園の生活を取り戻していますが、新入園児の中には、未だ登園時、泣いて離れない我が子に悩まされている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。家庭から初めて集団生活に入った子どもたちは、大人が思う以上に緊張し、不安や寂しさを抱えています。それでも一生懸命に園生活になじんでいこうとする子どもたちの姿は折々に見受けられます。
 年少児のRちゃんは、お母さんを後追いしてお部屋に入ろうとしません。先生がそっと寄り添って抱っこしながら気分をほぐしていますが、「カメをもう一回みたら、お部屋に入る」との言葉に「そうだね、一回みたらお部屋に入りましょう」と『お約束』をします。園庭にある小さなビオトープにいる人馴れしたカメが水面から頭をのぞかせて長い首をもたげてきました。そのユーモアたっぷりの動きがRちゃんの心を和ませてくれたようです。満足いくまで眺めると、すんなりとお部屋に入ることができました。また、別の園児は「トイレに行ったら大好きな外にいく」「外でいっぱい遊んで手を洗ったらおいしいお弁当を食べる」と、数々の決まり事を習慣化することで、次の動作への安心と期待を結びつけているようです。目には見えない「がんばり」がどの子からも伝わってきます。
 そんな子どもたちですが、間もなく、大型連休に入ります。幼稚園でがんばっている子どもたちと、ご家族でゆっくりふれあいの時間を持っていただければと思います。
 明照幼稚園は、かんたん港園(大分市生石5丁目)で行われる「海辺のガーデニングフェスタ」のガーデニングコンテストにチャレンジしています。小さなガーデンですが、時間がとれましたらご家族で足を運んで眺めていただけると嬉しいです。海風がほほにやさしく通り過ぎ、芝生の上では寝転んだりピクニックができたりと、そこにはゆっくりとした時間が流れています。(4月21日~5月12日まで開催)
 どうか家族皆様で楽しい連休をお過ごし下さい。
【結城 由里子】(令和元年5月)
~新しい門出に~
 ご入園、ご進級おめでとうございます。
桜の花も今年は早咲きで、入園、進級児の新しい門出をお祝いしてくれているかのようです。
今年度は、平成から新元号へと移行する年でもあり、いつもの新学期とはまた違った感があります。
 その元号もさることながら、世の中が目まぐるしく変化する昨今、幼児教育への期待はますます大きくなることと思います。今後進化していく人工知能の到来の時代ですが、幼児教育はそれに代わることはありません。私たちは子どもたちの感じる心、自らが発信する力、考える力を大切に、遊びの中での学びを育てるためにしっかりと環境を整えていきたいと思います。子どもたちの『なぜだろう?』『不思議だね』の気持ちに寄り添い、学ぶ力を育てるべく、1年間新たな気持ちで教職員一丸となって取り組んでいく所存でございます。どうぞ、よろしくお願い致します。
【結城 由里子】(平成31年4月)
ステップ ~明日への姿~
 寒気の中にも早春の息吹が感じられる頃となりましたが、明照の子どもたちは、園内行事最後の生活発表会に向けて、練習の中で先生と共に心がゆれ動く毎日を送っています。子どもたちが一年間毎日を重ね合わせる姿は、様々な人格という結果になって、美しいものを感じさせられます。
 思考力、協同性、規範意識、道徳性、社会生活、自立心、豊かな感性、言葉による優しい伝達、物事への関心と感覚、健全な心と体、生命の尊重と云うような10の姿になって、心と体に体験が重なり、人格が備わってまいりました。その姿に近づけるように、子どもたちの発達を願い、かけがえのない命の尊重を毎日送ったわけであります。
 幼児期は、教育によって点数がつくものではありません。だからこそ、生活の流れに応じ、興味や欲求に応じ、発達や成長に即した対応と環境が重要であります。そのために、毎日の生活、行事に向けた目標、達成した時の喜びを感じながら、大きな人格の基ができると考えています。
 小学校からの義務教育は点数によって大きく教育が変わってしまいます。成果主義の毎日は、子どものもつ本来の姿を失う可能性があります。その時に振り返る基となるものは幼児教育の人格形成であり、幼児期の様々な体験は、心をゆらしながら10の姿となってたくさんの困難を乗り越えてゆく力となります。教育は形ではありませんが、人格で健全に育つことを切に願い、子どもたちを次のステージに送りたいと思います。
【園長 結城 文宏】(平成31年2月)
成長 ~育ちあう~
 先週行われました恒例のバザーも保護者の皆様の運営で盛会に終えることが出来ました。ありがとうございました。
そのバザーですが、一層盛り上がりをみせてくれるのが年長児によるお茶会です。この日は年中、年長と2年間に渡って続けてきました茶道教室の集大成となります。子どもたちから、「ぼくたちもお茶を点てたい!」という声が上がり、昨年からお菓子とお茶のお運びのみではなく、茶碗と茶筅をのせたお盆でお運びして、保護者の方の目の前でお茶を点てることに成功しました。
 お湯のはいった茶碗と収まりの悪い茶筅を運ぶことはちょっとした集中力が必要です。何度か失敗を繰り返していましたが、「どうしたらこぼれないように運べるのかな?」と投げ掛けると、「まっすぐに歩く」「ゆっくり歩く」「茶筅は横にして持つ(寝かせる)」など、様々な創意工夫の意見がでました。お盆にのせた茶碗がこぼれないように背筋をまっすぐに伸ばし、その凜とした美しいたたずまいは、日ごろ元気よく走り回っている子どもたちとはまた違った感動をもたせてくれました。
 また、園では三学期にもなりますと、年長児に限らず他学年の子どもたちもとても落ち着きを見せてくれます。園での決まり事やお約束を自分なりに理解して、順番を守る、ゆずりあう等、生活する上でのルールを「どうしたらいいか」と考える力が確実に育ってまいりました。
 入園したてのころ、トイレを済ませてそのまま走り去る子どもたちに「どうしたら次の人が履きやすくなるかな?」と問いかけると、スリッパをそろえるという答えに行きついたようで振り返ってそろえていた子どもたちを思い出します。
 子どもたち自身が、お友だちを意識して楽しく遊ぶための規則を作り、トラブルがあれど自分たちで解決できているその姿は、4月のころには見ることができなかった各階の、今や整然と並べられたトイレのスリッパが物語っています。
【結城 由里子】(平成31年1月)
【平成30年へ】